パヴァナサラのこと

Our story


 

「パヴァナサラの生まれた理由」

 

アンコール遺跡で有名なカンボジアはシェムリアップ。

 

2012年よりこの地にオープンしたカンボジア雑貨を販売する土産物店「very berry」にて長く人気のあった「ウォーターヒヤシンス」のカゴバッグ。オープン当初より現地の村の女性たちに製作を依頼し、販売していました。

 

2016年頃より、商品の製作を依頼していた村の人たちの仕事離れが進み始めます。

時代の波とともに、テレビ、携帯電話、インターネットで多くの情報が得られ、街にあこがれる若者たち。

街へと出稼ぎに出る者あり、

自分でビジネスを始める者あり。

 

少しずつ

 

少しずつ

 

手仕事から離れてゆきました。

 

また、それと相反して、都会では観光客向けのホテルやレストラン、カフェが建設ラッシュでモノ作りの需要はうなぎのぼりに。

残っている製作者たちは、集中するオーダーに早朝から深夜まで作り続けて疲弊し、オーダーした側は商品の納品がいつになるのか分からない、という時期が続きました。その事態を打破するためにvery berry は、村から離れられない小さな子供のいるお母さん世代を集め、2018年4月、ウォーターヒヤシンス製品のブランド「パヴァナサラ」を立ち上げたのです。

 

街に働きに行きたいけれど、小さい子供のいるお母さん。

専業主婦だったけれど、子供も少し大きくなったから、村の中で仕事ができるのなら・・・、

と、参加した女性たち。

そんなスタッフが6名集まり2018年4月にパヴァナサラはスタートしました。

 

小学校さえ通ったことのない女性もいます。

モノ作りの前に、「働くこととは」という、私たちが知るたくさんの「当たり前」のことにひとつひとつつまずきながら、乗り越え、技術を身につけ、経験を積み、そして「世界に通用するモノ作り」を目指します。

 

自然に囲まれた小さな村。貧しくもおおらかな人々が、「世界で一番のウォーターヒヤシンスのバッグ」を目指します。

 

 

私たちは小さな、小さな船を漕ぎ出しました。

その小船で大きな大きな海に向かって進んでゆきます。

 

ブランド名とロゴの由来

Origin of brand name and logo


 

「太陽・風・水からインスパイアされ生まれた名前とロゴ」

 

 

古代遺跡アンコールワットにも彫られている古語「サンスクリット語」。

パヴァナサラはサンスクリット語で

 

「風=パバナ」と

「水=サラ」

 

というふたつの言葉を合わせた造語です。ロゴに、

 

燦々と輝く「太陽」

 

をデザインすることで、私たちにとって重要な自然界のエレメンツを表しています。

 

 

これらの自然は私たちが使う素材、ウォーターヒヤシンスの生育に必要なだけではなく、人々が暮らすうえでも欠かすことのできない大切なもの。悠久の時を超え、現存するアンコール遺跡のように、私たちもこのカゴ編みの技術が、伝統となり、この地の自然の恵みとともに、次世代につないでいけるように、と、願いを込めて名づけられました。

素材のこと

Material


私たちのバッグは、カンボジアの湖のほとりで、陽の光をたっぷりと浴びて育ったウォータヒヤシンスを使用しております。ひとつひとつ厳選して刈り取られたウォーターヒヤシンスは、「太陽の光」と心地よく吹き抜ける「風」により、しっかりと乾燥させたのち編み上げてゆきます。バッグに付属するボタンやハンドルも自然の植物を利用しております。可能な限り天然素材を使用し、環境に負荷のかからないモノ作りを目指しております。

ブランドカラー

Brand color


 「ウォーターヒヤシンス・ベージュ」 

 

ふりそそぐ陽の光と吹き抜ける自然の風によって丁寧に乾燥されたウォーターヒヤシンスはナチュラルで優しいベージュ色となります。包み込むような安堵の色。このウォーターヒヤシンス・ベージュが私たちのブランドイメージカラーです。

働く環境のこと

Working environment


2018年4月、湖のほとりにある小さな高床式のおうちを私たちの工房として借り上げ、パバナサラがスタートいたしました。

 

2020年諸事情により場所を移転。

現在は作り手の家にて各々が制作。またトレーニングやミーティングの際には工房のリーダー、チャンティの自宅に集まっております。

 

みな口々に言うのは、自分の家で仕事ができるのでとても助かります、と。子供も見ながら、食事も作りながら、用事があれば外にも出て、と時間に縛られない労働基盤が結果的には田舎の村の人たちのライフスタイルに一番フィットするのだな、、、、、と実感しております。

コミュニティとの関わりについて

Community where we belong


 

私たちの工房のある村は豊かな自然に恵まれたトンレサップ湖のふもとの村です。

カンボジアの多くの村と同様、決して豊かとは言えず、教育を受ける機会がなかった村人の方が多く、その日暮らしで漁をしたり、ハンモックを編んだりして現金収入を得るか、町まで出稼ぎに出たりしています。けれど、みんな周りの人たちと助け合いながら暮らしています。

 

将来的にはより多くの村人の雇用ができれば、と考えます。

ファウンダーについて

Founder


2001年、バックパッカーとして初めてカンボジアへ。

おおらかで、温かいカンボジア人の人柄と時間の流れのゆるやかさに、心を奪われる。何度かの旅行を繰り返し、2005年にカンボジアへ移住。

 

その後、旅行会社勤務、大型土産物店舗の立ち上げ、運営を経て、2012年カンボジア産の手作り製品にこだわった自身のお土産セレクトショップをオープン。

 

ショップ運営も安定してきた2017年頃より、カンボジア経済も急成長。都会では仕事が有り余るほど増え、手仕事に携わる制作者さんたちの仕事離れが少しづつ始まります。特にショップで人気のあったウォーターヒヤシンスのカゴバッグの作り手たちが、都会へのあこがれや、より多くの給料を求め手仕事を離れていってしまいました。また年齢が高く技術の優れた作り手たちも高齢による体の不調から仕事を離れるようになってしまいました。残っている作り手たちは増え続けるホテルやレストランからのオーダーに早朝から夜遅くまで働きどんどん疲弊してしまい、オーダーをしても、なかなか届かない、いつ届くか分からない、という状況に陥りました。

 

元来、カゴバッグが大好きで、カンボジアが大好きで、そんなふたつが重なり合った製品をたくさんの人たちに知ってもらいたい、と思っていた中川は自分の手で、作り手が働きやすい環境を整えた工房を立ち上げることにしたのです。

 

場所選びに始まり、人探し、トレーニング、10年住んでもまだなお奥の深い文化や言葉の壁など、想像以上の大変さに精神的にも体力的にも打ちのめされる日々が続きます。

 

村では定収入の仕事がない、街へ働きに出たくても出られないという問題を抱えていた村の女性たちと共に、自社工房を立ち上げる、といえば聞こえはいいものの、学校に通ったこともなく自分の名前も書けない、雨漏りのする家に住んでいる、夫は警察に捕まって刑務所に入り、子供を抱えて日々食べることすら難しい、外国人が通れば何かもらえるとばかりに後を追いかける、そんな村の女性たちとの間には目に見えない高い、高い壁がふさがっていました。

 

ともに働き、ともに食事を摂り、時間を共有してゆくなかで、ぶつかって、考えて、乗り越えて、また新しい困難にぶちあたる。そんな日々を繰り返していくことで、すこしずつ理解をし、離れていたお互いの距離が縮まっていくことは、大きな喜びでもありこの活動のご褒美でもありました。苦労が大きければ大きいほどそのふり幅も大きい。

  

 多くの先進国では経済発展とともに人々の暮らしは豊かになりました。便利なものと引き換えに豊かな自然は失われてゆき、手仕事の代わりに大規模工場にて大量生産された製品がスーパーマーケットに山積みされ一年、二年で消費されてゆきます。さらに工場から排出されるゴミは環境を汚染します。けれど、ここカンボジアではまだその波はほんの一部です。自然豊かな村で作られる手仕事の製品こそが、環境破壊を起こさず、人間が生きることに必要な自然のエネルギーや自然環境にとっても必要なのだ、と実践し伝えてゆきたい。手仕事を通して、この、いまある豊かな自然を後世にも残したい・・・。

 

壮大な目標ですが「想いは叶う」、口に出していれば「言霊」となり相手にも伝わる。そしてゆっくりと周りも変わってゆく・・・。そう願って、このウォーターヒヤシンス製品の工房を継続してゆきたいと考えています。

 

「人と自然と手仕事と」

 

 

ファウンダー、中川裕聖子の挑戦です。